美学の書

 昨日から新しい職場で働き始めた。その緊張した精神の中でまず読み終えた本は、鴻上尚史著『あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント』。前の職場では橋本治著『美男へのレッスン』を手に取った。この2人の著者は似ている。根本的に「演劇的」であり、言い換えれば反「小説的」である。80年代から旺盛な仕事をずっと続けていて、基本的に笑わせることが大好きなのも共通している。その価値観の根本に戦後的なものがあるのも同じだ。
 さらに、この2冊の本も似ている。どちらも美学の書だ。マニュアルであることを隠しもしない題名でありながら、美の世界への「手触り」としての"manual"な感触を与えている。言い換えれば、「美」をめぐり語るのではなく、それ以前にまず「美」とは何かを感じるための「感情教育」(sentimental education)の書だ。

あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント (講談社文庫)

あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント (講談社文庫)

美男へのレッスン

美男へのレッスン